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地元への説明も終え、安全性も確保されているとされているが本当だろうか。なぜ今日なのだろうか。なぜ当日発表なのだろうか。その裏話を某テレビ局担当記者に聞いた。
開放によって外部に放出される放射性物質は、発表によれば16億ベクレルと見積もられている。ただし、この数値は隠されてはいないもののあまり積極的に
は報じられず、一部のメディアのみがニュースの中に織り込む程度にとどまっている。これまでに放出された放射性物質の単位が「兆」や「京」ということも
り、麻痺した人々の耳には16億と聞いてもさほどのことはないと思われるかもしれないが、普通ならば大騒ぎになる数値なのは間違いない。
2号機の原子炉建屋はほぼ無傷で残存。内部はおびただしい量の放射性物質が含まれた水蒸気と空気で満たされている。こうした状況のため、作業員が内部に
入ることができない状態が続いていたのは皆さんもご承知のとおり。今月初めから「6月中旬をめどに建屋二重扉を開放する」という予告はされていた。汚れた
内部の空気を浄化してからという建前ではあるが、それならば浄化してそのまま作業に入れば済む話。わざわざ二重扉を開放するのは外部に汚れた空気を放出し
て希釈する意図があることは明白だ。
東京電力が、今日の20時を目安に二重扉を開放する公式発表をしたのは、冒頭のリリースでもわかるとおり当日になってから。なぜこんなに突然発表された
のだろうか。なぜ数日前に前もって注意喚起をしないのだろうか。このあたりの裏事情に詳しい某テレビ局社会部担当記者に話を聞くことができた。
「我々の間でも“二重扉開放はいつになるんだろう”って話題になってましたが、けっこう突然でしたね。日時決定はもちろん東電が勝手には決められません。
官邸と保安院の指示で動いています。いろいろな言い訳や釈明をして安全性を強調していますが、安全なわけがないんですよ。大量の放射性物質が外部に一気に
漏れ出すのは間違いないので、あとは風向き次第なんです。放出には数日かかるので、最低でも2日間は風向きが西で、太平洋方面に放射性物質が流れるのがベ
ストです。でもしばらく今月になって様子を見ていましたが気象庁の予報ではそういうタイミングがありませんでした。さすがにこれだけホットスポットについ
て話題になっているときに、関東方面に向かって風が吹いているタイミングでの開放はありえません。そうなると選択肢は一つ。復興作業で「放射能どころじゃ
ない」状態の東北地方に向かって南風が吹くタイミングを狙うしかありません。それならば大きな苦情は出ないと官邸は踏んでいるんです。金曜日あたりから今
日の開放は本決まりになっていましたが、今日からまる2日間は仙台方向に南風が吹くんですよ。気象予報はどんどん変わりますから、ほぼ風向きが確実になっ
た今日になって発表されたっていうのが本当でしょうね」
要するに情報弱者である被災地方面にならば、放射性物質を飛散させても大丈夫だと判断されたというわけか。確かに、がれき除去で手一杯の宮城県や岩手県では、ホットスポットなどと言われてもそれどころではあるまい。
「それよりもっと怖いことが起きていますよ。定点カメラでの映像を見て一部では騒ぎになっているみたいですが、昨日(6/18)深夜から今日の早朝にかけ
て福島第一原発ですごい勢いで白煙が出ていたんです。あれは水蒸気です。メルトスルーが話題になっていますが、まさにあの水蒸気はメルトスルーが“新た
に”起きているのではないかと我々の間では言われています。建屋のコンクリート床に燃料が落ちて反応するすると大量の水蒸気が出ます。おそらくその水蒸気
が白煙に見えたんではないかと言われています。今白煙が止まっているのはコンクリートを突き抜けたんでしょうね」
いつまで経っても正確な情報を出さない官邸。後世の裁きを待つしかないのだろうか。